フランスって

国際結婚ならではの問題

ここ数年の日本の不況で在仏日系企業はどちらかというと縮小、撤退傾向が強い。日本人駐在員子弟を対象とするパリ日本人学校も年々生徒数が減少し、今年は月謝の大幅値上げがされた。

それに対し、統計を調べたわけではないから感覚的に述べる意見なのだが、日仏カップルの数は確実に増加しているように思う。パリ市内はもちろんのこと、パリ郊外でも「え、こんなところに」と思うような小さな町にも日仏カップルが複数存在したりする。

国際結婚というと何か特別な夫婦のように思われることもあるが、実態は日本人同士のカップルと変わらず、時々夫婦げんかをしつつも平凡な家庭を営んでいるケースが多数である。

しかし何か問題が起こると日本に住んでいる日本人同士の夫婦にはありえない数々のハードルを乗り越える必要が出てくるのも国際結婚の現実だ。子供がいればそれらのハードルはますます多くなる。

たとえば離婚。通常の離婚の場合、両親は子供に会う権利が同様にある。が、離婚して日本人の母が子供を連れて日本に帰国、などとなると父親を説得、了解を得なければならない。無理やり帰国すれば誘拐罪で訴えられかねない。しかもフランス生活しか知らないハーフの子供を連れての日本での生活は容易ではない。子供も父親に会いたがるし、学校ではいじめに合うし、母親の就職も容易でないし、ということで結局フランスに戻ってきたケースを知っている。

もっと複雑なケースもある。日本人の母親が2人目の子供ができないのを悩んで精神的にまいってしまった。一人っ子である娘の育児もまともにできない状態になり、精神科医にかかるのだが治療の成果が思うようにあがらない。現在ではフランス人の夫との関係は悪化する一方なのだが子供がいるので離婚も帰国もできない。彼女の精神的状況からみると、今離婚すれば子供が父親に委ねられる可能性は大きい。しかし外国において、精神的セラピーが果たして正しく行われるものだろうか?外国語で自分の気持ちを吐き出すことはできるものだろうか?少なくとも彼女のフランス語レベルでは無理に思える。それでは帰国して愛する家族と離れて日本で治療した方がよいのだろうか?1ヶ月やそこらで完治するようなものならそれも一つの可能性かもしれないが精神的問題の場合は治療は長期戦にもなりうる場合は?

人生いろいろである。

コメント(1)| Track back(0) | 2005年05月26日

便利な救急医療システム

社会分析的ブログの信頼できないフランス医療・大誤診の壁を読んで、ご苦労及びお怒りをお察しすると同時に思い出したことがあるので書いてみたい。

子供を持つ者なら誰でも経験することであるが、子供の熱や病気は夜間発生することが多い。経験したことのない高熱や症状だとどんな親でも動転し、とても朝まで放っておくことはできない。

そんな時どうするか。
?かかりつけの医者に電話する
?もよりの病院の救急科に駆け込む
?救急車を呼ぶ
などが考えられるのだが、
?パリでは自宅で営業している医者は少ないので夜間に電話しても誰も出ない。
?これはなるべく避けるべき措置である。パリの救急医療の多くが公立病院で扱われているのであるが、公立=無料である。無料、というところがポイントで、収入が少なくしかも保険もあまり入っていないような人達は無料であることを利用し、町の一般医に行かずにすべてを救急科で済ませている人がかなりいる。つまりまったく急を要さない人達がいつも群れをなして待合室にいるのである。救急科に行ったもののそこから何時間も待たされることもしばしばと聞く。しかもこのような人達のなかにはフランス語を話さない人も少なくなく、話をよけい複雑にしている。

症状があきらかに異常かつ緊急を要する場合はもちろん?である。救急車(SAMU)の電話番号は15だ。消防署の18でもよい。救急車で運ばれるのは上記の病院の救急科であるが、救急車で到着した人の方が当然優先順位が高いため、大したことがないのに15に電話して救急車をタクシー代わりにするつわものもいるらしいがあまり悪用するのは考え物だ。

が、たいていの場合は救急車を呼ぶほどではない。そんな時に非常に重宝したのがSOS Medecinである。サイトにも説明があるとおり、24時間体制で緊急医療の心得のある医師を巡回させている団体である。現在では上記SAMUとの連携ができているが、もともとはSAMUより歴史が古いらしい。

まだフランス生活が浅かったころにフランス人の同僚から「夜の病気には病院に駆け込むよりSOS Médecinの方が良い。医者の質も高い。」と教えてもらったものだが自分自身これまで何度かお世話になった。電話をすると受付が患者の年齢、性別、症状などを尋ねてくる。医者があとどれくらいで到着するか、また、医者を待つまでの間の措置があればそれも簡略に指示してくれる。その時の混み具合にもよるが、30分から1時間以内に医者が到着し、応急処置の後で必要な処方箋をくれる。応急措置により翌朝薬屋が開くまではなんとかなるので夜中に薬を買いにいかなくて済むことが多い。

SOS Médecinは一般医と同じで有料(夜間料金の適用)であるが、保険が効く。病院に駆け込んでいらいら待つより気分的にも物理的にも楽である。

ちなみに、かかりつけの一般医や小児科医に電話して、医師が不在であっても緊急の場合の連絡先(上記SAMUやSOS Médecin)の電話番号をアナウンスする留守電にしてあることが多いのでとっさに迷ったらまずかかりつけの医師に電話してみればよい。

以上のどのシステムもある程度言葉ができないと利用が難しいかもしれないが、そういうシステムがあるのを知っているといないとでは違うと思う。

コメント(8)| Track back(0) | 2005年05月23日

クルーズコントロールその後

フランスというのは不思議な国で、他のどの国にも起こらない(存在しない)ことがなぜかフランスだけで起こる(存在する)、ということがある。そういう現象を示す「exception française」という表現も非常によく使われる。exception の中には良い例も悪い例も含まれ、皮肉っぽく使われることも少なくない。

以前エントリーしたヴェルサティスを始めとするクルーズコントロール問題(これこれ)もどうもその一つであるようだ。

ルモンドの5月2日に出た記事によると下記のような状況である。(元記事は有料アーカイブに入ってしまっており、リンクできないのでご了承いただきたい。)

=====
電子関係のミステリー?ドライバーのパニック?ルノーを陥れるために何者かが仕掛けた狂言か?2004年のヴェルサティス暴走事件以来、ルノーのクルーズコントロールについていろいろ論じられているが未だに原因究明に至っていない。ルノーではメガーヌ、ラグーナ、クリオで30件ほど、クルーズコントロールがブロックしてブレーキがかからなくなったという報告を記録している。2004年にフランスで販売された新車の40%にクルーズコントロールが装備されていることを考えると問題を軽視するわけにはいかない。

中でもルノーの車はクルーズコントロール装備の割合が多い。が、ルノーのクルーズコントロールは他メーカーと同じものが採用されている。また、ルノーが外国に輸出している車にもまったく同じクルーズコントロールが装備されているが現在のところ外国で同様の問題はまったく発生していない。ルノーも以来いろいろなテストをしているが、「ドライバーがパニック状態になってペダルを間違えたとしか考えられない」という。

電子部品の故障はままあることであるからクルーズコントロールが電子系統の問題を起こしてうまく作動しなくなる可能性はゼロではない。その場合に問われるのはドライバーが車を止める能力があるかどうか、だ。

モーターが勝手にフル回転でブロックしてしまった時はまずクラッチを切ることだ。クラッチを切ればモーターに動力は与えられないので自然と減速、そしてエンジンを止める、という方法だ。オートマ車でクラッチがない場合はギアをニュートラルに入れれば同じことである。また、自動車の構造上、ブレーキはアクセルより強力に設計されているので上記のことを思いつかなくてもひたすらブレーキを踏み続ければ絶対に減速するはずである。「ヴェルサティス暴走事件」のドライバーはこれらの措置を行ったのかどうか?残る可能性は、クルーズコントロールの電子系の問題とクラッチ、ギアボックスやブレーキといった機械系の問題が同時に発生したというものだがこれは非常に考えにくい。ここで考えられるのはクルーズコントロールの歴史の浅いフランスのドライバーが装置を正しく使用できていないのではないかということだ。

現在の車は非常に乗り心地がよく、騒音も少ない。そういう運転環境では注意力が低下しがちなのでより安全を意識する必要があることは知られているが、フランスのドライバー達はそれを肝に銘ずるべきであろう。クルーズコントロールは「自動運転装置」ではないのである。

===

その後「被害者」グループはルノーにリコールを要請したが車種も原因も絞られていない現時点でのリコールは不可能とルノーは回答している。

コメント(4)| Track back(0) | 2005年05月19日

建物の切り売り問題

フランスではここ数年住宅物件の値上がりが激しく、家賃もそれに合わせてどんどん上がっている。

そんな中で今問題になっているのが建物の切り売り(vente à la découpe)である。建物の切り売りについてはこのサイトに説明がある。

1970年から80年にかけて保険会社などが投資目的で多くの建物を建築、購入した。これらの建物を住人がいるままでまるごと不動産投資会社が安価で購入、その後ひとつひとつのアパートを高値で売却してゆく、というシステムである。

自分が現在住んでいる建物がこのシステムで購入されてしまった場合、こういうことが起こる。ある日書留郵便が届いたので開けてみたところ、「あなたが現在お住まいのアパートは新しい家主に売却されました。新家主は同アパートをxxxxxxユーロで売却する予定です。あなたがこの値段で同アパートをご購入の意思の有無を2ヶ月以内にお知らせ下さい。お知らせがなかった場合はご購入の意思がないものと解釈しますので現在の賃貸契約終了時にアパートを退去いただくことになります」。

フランスでは住人がいるアパートを売却する場合、現住人にまず売却を提案する義務(droit de préemption)がある。その住人が売却を希望しなかった場合に初めて第三者に売却できるのだが、現住人に提示した値段以下で売ってはいけないと法律で決められている。

上記の書留郵便の提案はまさにその法律に則ったものである。しかし問題は売却提示金額だ。ここ数年の住宅物件高騰のせいで現在はパリのいわゆる「大衆的な」地区ですら普通の人には手の届かないような市場価格になってしまっている。もともと家賃の安かった大衆的な地区の賃貸住人に払える金額ではない。

買えないとなれば住人は泣く泣くアパートを退去するしかないのが現状だ。そしてその後投資会社はそのアパートを高級に改装し、べらぼうな金額で売る、というシナリオだ。

いまやパリ市内に住むというのは一般市民には夢のまた夢だ。数年前までは「ちょっと怪しげな」地区だったところにまで高級マンションが出現し、お金のある人達が住むようになってきている。それによって庶民がどんどん追い出され、追い出された庶民は比較的安価な郊外へと押し出されている。

この現象をストップするために議会でも議論されているが先日第一の案(社会党案)が不採用となったため、また6月まで結論が先延ばしとなった(参考記事)。

パリを一部のお金持ちだけの住む町にしないためにも有効な方策が待たれる。

コメント(15)| Track back(0) | 2005年05月18日

連帯の日

以前エントリーしたとおり、本日5月16日は「連帯の日」としてもともと休日だったものを「無給で働く日」とされた日である。

先週も毎日のようにこの「祝日削減」「無給で働く」ことについての報道がされていた。

フランス人のエゴイズムもここまできたか、と私は近年になくフランス人に失望してしまった。

反対理由の中には一理あるものもある。例えば、「いつも給与所得者だけが犠牲になるのはおかしい」「長い連休が減ってしまうと観光業の収入が減る」などである。しかしそれならば「自由業者にも同じ負担をさせろ」と叫ぶべきであって、ここで「だから働かない」という結論に達するということは所詮働く気がないことの現われとしか思えない。観光業については確かにそうだ。しかし彼らは数年前の35時間制導入によって恩恵を得ているはずである。結果がポジティブな時には黙っていて、ネガティブな時だけ大声で叫ぶというのはなんだかいただけない。

よく日本では「欧米ではキリスト教精神のおかげで無償の愛という概念が広まっている」などと言われるが現在のフランスほど「無償の愛」と程遠い民族はない。「カトリックの長女」と言われるほどカトリックの代表たる国のはずであるフランスだが無償で何かせよと言われると目をつりあげて反対する人々になりさがってしまった。

だいたい「無給で」というところがフランス人の気に障るらしいのだが、多くのサラリーマンは月給制だ。つまり1ヶ月の労働日数が20日であろうと19日であろうといちいち日割りで月給を算出したりはしない。だから今日「無給で」働いても月末にもらう給料はいつも同じである。が、「祝日出勤」と考えると別の理論が発生する。祝日の場合は祝日手当てが加算されるからである。つまり「祝日手当てをもらわずに出勤するのはイヤだ」ということになる。

また、単に休みたければ十分に有り余る有給休暇を使って休めばよいのであるが、「政府のせいで大事な有給休暇を一日無駄にするのはいや」なのだ。

今日が休みでなくなることによって「老いた両親に会いに行く日が減った」とまことしやかに叫ぶ人もいる。つまり、祝日を一日減らして老人や障害のある人のための資金を作るなどナンセンスで、もっと老いた両親と頻繁に会うことによって先刻の猛暑被害のようなことは防げるはず、という論理だ。しかし。連休ごとに必ず老いた両親のところに行くフランス人ばかりでないのは明らかである。また、身寄りのない老人にとっては連休だろうがなかろうが変わりはなく、猛暑の時にはこのような老人達が犠牲者となったことはすっかり忘れている人達だ。

今回のからくりは企業が従業員給与合計に対して0.3%を「連帯税」として政府に納める。企業はその税金を従業員に請求しない分、今日一日の「無給労働」として見返りとみなす、というものである。

関係記事がこちらで翻訳されているのでご参照を。

コメント(4)| Track back(2) | 2005年05月16日

                       
     

Google
WWW を検索 ブログ「フランスって」 を検索
5月
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
archives
category
Weblog
子供や教育
フランス人気質
生活
お店や場所などの情報
bookmark
最近の記事
  • 国際結婚ならではの問題
  • 便利な救急医療システム
  • クルーズコントロールその後
  • 建物の切り売り問題
  • 連帯の日
  • シルク ドゥ ソレイユ
  • トワリーのサファリパークと動物公園
  • フランスミニアチュール
  • 「フランス人は十分に働いていない」が56% 
  • わずかずつながらも変わるフランス人
最近のコメント
  • 国際結婚ならではの問題/ビアンカ
  • 建物の切り売り問題/きまるり
  • 建物の切り売り問題/yaco
  • 建物の切り売り問題/ふらんす(筆者)
  • 便利な救急医療システム/ふらんす(筆者)
  • 便利な救急医療システム/yaco
  • 建物の切り売り問題/yaco
  • 便利な救急医療システム/koebi
  • 建物の切り売り問題/ふらんす(筆者)
  • 建物の切り売り問題/yaco
著者関係
プロフィール  
お願い
フランス及びその他の国から
このブログを登録 by BlogPeople


ちょっとおじゃましてみました


blog top

powered by news handler and seven ten design