村上健のオセロ日記

世界選手権
仕事や子供の運動会やその他の事情があってなかなか水戸に行くのは厳しかったのですが、最終日だけは行くことができました。そこで体験したことはオセロニュース用の原稿に書きました。当初は五十嵐編集長に「2ページ以内でお願いします」と言われていたのですが、世界最高レベルの4人が繰り広げるドラマを身近で見たために(私は準決勝と決勝の記譜係をさせてもらいました)、書くことが多くて大幅に字数をオーバーしてしまいました。オセロニュース(王座戦&世界選手権特集号)は12月1日に発行予定です。皆さん、お楽しみに!!

コメント(1)| Track back(0) | 2006年10月17日11時39分35秒

埼玉オープン
昨日は埼玉オープンに参加しました。当初一昨日の天王洲カップに参加する予定だったのですが、直前に家庭の事情で参加できなくなってしまいました。今回も駄目かも、と思っていたので、無事に参加できてホッとしました。雨の中ウキウキ気分で北浦和に向かいました。

成績は5勝1敗で3位と良かったのですが、内容はいまひとつ。序盤の優勢を維持できなかったり、序盤から不利になったりしたのを終盤の相手のミスに救われるという試合がほとんどで、反省点の多い大会でした。棋譜はまた後日投稿します。

試合の合間には腕相撲大会がありました。私もエントリーしたのですが、初戦で倉地三段に敗れてしまいました。その他ベストドレッサー賞を目指して仮装(主に男性選手の女装)してきた人も沢山いて、なんとも楽しい大会でした。

コメント(0)| Track back(0) | 2006年09月19日09時51分18秒

外国選手宿泊に関するお願い
既にオセロジャパンの掲示板にも書きましたが、世界大会に参加するドイツのMatthias Berg選手と中国のLiya Ye選手を無料で泊めて下さる方を探しています。

日程は10月10日〜12日で、このうち1日は星さん御夫妻が泊めて下さることになっています(10日か12日かのどちらかになると思います)。残りの2日間、この二人の外国人選手を泊めて下さる方はいないでしょうか? 二人は恋人同士なので、一部屋だけで構いません。また、日中は二人で東京近郊を観光する予定なので、夜に寝る場所を提供して下さるだけで結構です。もしも地元を案内して下さるならば、それは更にありがたいことです。

日頃付き合うことの少ない外国の選手と知り合い、オセロも楽しむことができる良い機会だと思います。ご協力いただける方がいましたら、

村上 健 murakami@dx.catv.ne.jp

までメールを下さい。よろしくお願いいたします。

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神奈川オープン
急な事情で神奈川オープンには参加できなくなってしまいました。
残念です。

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王座戦…その2
56 54 16 20 18 51 47 49
57 55 15 19 09 10 48 50
32 17 02 03 04 07 34 36
46 11 01 00 00 13 35 41 ● 為則 39
45 14 06 00 00 23 22 39 ○ 村上 25
44 27 25 08 12 05 28 40
60 58 37 26 24 21 43 53
59 42 30 29 33 31 38 52

4回戦は現世界チャンピオンの為則英司九段。ここで負けると決勝進出はありません。相当気合が入りました。11までは予想通り。12〜18は対為則戦のために研究した手順です。以下互角の展開。27はc8を予想していたのですが、黒b6。少しありがたいと感じました。32と打って、次にa4→a5の左辺連打をにらんで形勢互角と読んでいたのですが、34がとんでもないポカ。この一手で終わってしまいました。ここはg4に打つ一手で、それなら白優勢でした。35以下は全く白にチャンスなし。なんとも残念な試合でした。

56 46 40 54 39 45 53 52
49 57 41 21 20 38 51 36
43 42 03 04 09 08 31 28
55 10 05 00 00 06 19 29 ● 村上 34
44 11 15 00 00 01 14 23 ○ 佐々木 30
47 37 34 02 12 07 22 27
48 50 16 17 13 24 58 30
60 33 26 32 18 25 35 59

5回戦は佐々木惣平四段。序盤18に意表をつかれました。以下対策に苦慮して時間を大量消費。31以下43まで、黒は詰まないように打つのに精一杯。白が46を考慮中、「b7に打たれたら偶数理論で簡明に負けだな」と思っていたのですが、白はb1。この手を見て希望が出てきました。しかし実際にはb7が白4石勝ちの手であるのに対して、本譜b1は白20石勝ちになる最善手だったのです! 48でa4は黒b7で負けと見た佐々木四段はa7へ。当然の一手とも見えるこのC打ちが、なんと24石差損の大悪手とは! 対局中は二人とも本譜48が最善手だと信じていたのですが、局後佐々木四段がコンピューターで分析したところ、48d1!→黒a1→白a4という絶妙手順で白の完勝なのでした。49、50は最善手。50で白a4は黒a8と取ってくれれば白b7で勝てるのですが、黒b7とブラックラインと通されると8石負け。51以下双方最善で勝つことができました。

51 33 52 32 46 19 49 48
50 45 24 17 14 27 47 42
22 16 02 03 04 13 28 29
11 15 01 00 00 05 10 30 ● 松本 37
21 08 18 00 00 20 25 31 ○ 村上 27
12 56 09 06 07 23 41 40
53 57 26 39 34 36 38 54
60 59 58 44 35 37 55 43

6回戦は松本大志三段。後藤流快速船から未知の展開へ。21は驚きましたが、実にうまい手です。25は疑問。素直にb6に先打すべき。28は悪手。d7かh5が良かったようです。33が好手で白苦戦。34〜36は苦しい手ですが、37がやや疑問。38と打って白戦えると感じました。ところが42が敗着。ここはg8と奇数空きに先打して白勝ちでした。本譜42、43となると右下の白連打が狙えるような気がしたのですが、気がするだけで実現しない形でした。全く読みが甘くていけません。46は黒c1→白g2(そうなれば白勝ち)を狙った手ですが、47g2が素晴らしい好手。以下双方最善で黒の完勝。松本三段は非常に強いと感じました。

57 51 54 32 45 46 40 55
49 56 19 18 14 39 50 28
44 30 17 09 07 10 11 60
43 25 20 00 00 04 16 21 ● 村上 51
26 24 15 00 00 01 05 12 ○ 鵜浦 13
27 31 23 08 03 02 13 22
38 42 41 35 06 33 52 29
47 48 37 36 59 34 58 53

最終戦は鵜浦友輔二段。12までは佐藤紘一郎二段にも打たれたことがありますが、なかなか有力だと思います。敗着は18でしょうか。19ときれいに中割りされてc4とh4が見合いになり、更に21と打たれてc6とh6が見合いになってしまっては白一気に形勢を損じました。18はc6あたりで耐えるべきでした。以下白がまったくチャンスを見出せない展開になってしまいました。

最終成績は4勝2敗1分で15位。特に対為則九段戦が悔いの残る試合でした。

明後日は神奈川オープンに参加する予定です。とても楽しみです。

コメント(2)| Track back(0) | 2006年09月01日16時40分40秒

王座戦…その1
26日は王座戦に参加しました。1987年に世界選手権大会代表枠がそれまでの各国1名から各国3名になったのですが、日本オセロ連盟は多くの選手の批判にも関わらずベストメンバー3人を派遣することを頑なに拒否してきました。そして19年が経ち、とうとう連盟は諸外国と同様にベストメンバー3人を代表とすることを決断しました。王座戦はその意味で歴史的な大会です。遅きに失した感はないでもありませんが、とにかく連盟の英断に拍手を送りたいと思います。

歴史的な意味だけではなく、他の点でも王座戦はこれまでにない大会でした。オセロ発祥の地である水戸で開催されたこと、世界選手権やヨーロッパグランプリで使われている組み合わせソフト(白番・黒番の比率が、全選手ほぼ半々になるようになっている)が使われたこと、試合結果の申告用紙に両対局者の署名欄があり、記載内容は両選手の責任としてそのまま記録されたこと(実際何局か、記入ミスのために勝者と敗者が入れ替わった対局がありました)、各ラウンド終了時に、その時点での順位と次の対局の組み合わせが、複数の壁に張り出されたこと(これは一部の大会では既に行われていますが…)、等です。

試合結果申告用紙の対局者名はローマ字で記載されており、「王座戦は10月に水戸で行われる世界選手権の予行演習も兼ねているのだな」と思いました。世界選手権の準備は着々と進んでいるようです。水戸では様々なオセロイベントが開催され、地元広報誌や新聞で取り上げられています。既に世界中から80名近い数の選手がエントリーしているそうで、今年の世界選手権は30回記念大会に相応しい素晴らしい大会になることでしょう。

53 46 39 36 41 42 45 44
54 50 37 35 38 40 43 21
31 49 02 03 04 11 16 17
32 29 01 00 00 05 10 18 ● 工藤 15
30 08 20 00 00 12 13 19 ○ 村上 49
28 23 09 06 07 14 15 60
33 47 22 24 27 48 57 59
52 51 26 25 34 56 55 58

初戦の相手は工藤明子二段。序盤からほぼ互角の進行。18ではc5→黒f2→白h5とするか本譜のように右辺を取らせて黒f2を打ちづらくさせるか迷いました。やはり18は単にc5の方が良かったようです。29では黒f2→白e2→黒d1を想定し、そこで白e8なら黒d2、白f8→黒e8→白f7なら黒c2があるので「困ったことになったな」と思いました。しかし黒はb4。これは一見好手なのですが、以下30〜34と自然な流れで白大優勢になってしまいました。

51 53 33 38 37 36 39 57
52 50 34 30 31 40 54 58
45 22 20 21 05 29 08 35
44 26 09 00 00 04 28 41 ● 江崎 31
27 12 06 00 00 01 07 32 ○ 村上 33
46 15 11 10 03 02 19 42
47 59 25 13 14 17 49 43
60 48 16 23 24 18 55 56

2局目は江崎祐太三段。この試合は終始優勢に打ち進めたのですが、終盤で間違えました。50はg2の一手。以下黒b1→白b7→黒g8→白h8…で勝勢です。私の50は大悪手。それでも52でg2ならまだ2石勝ちの形勢だったのですが、52が4石損。筋では奇数空きに先着するg2の一手なのですが、それだと黒a2で左辺を助けられ、更に白b1→黒h2で第2行も抜かれて自信がなかったのです(実際にはそれで白2石勝ち)。54の時点で負けを覚悟していたのですが、時間に追われた57が痛恨の敗着! ここはh2で黒2石勝ちでした。最後に勝ちを拾ったものの、自分の終盤力の無さを思い知らされました。

53 42 37 40 41 44 46 59
52 38 36 35 43 45 58 57
31 34 30 39 27 19 23 20
28 14 26 00 00 04 11 48 ● 村上 32
29 25 07 00 00 01 09 51 ○ 佐脇 32
32 21 06 08 03 02 05 49
33 47 18 13 12 10 54 60
50 24 17 16 15 22 56 55

3局目は佐脇裕輔三段。序盤14に驚きました。明らかに黒f8を誘っており、それだと白h6で不利になるような気がしたので15e8を選んだのですが、これが悪手。15では自然なf8を打ち、以下白h6なら黒f3などで互角でした。以下非常に厳しい戦い。29ではg7に打ちたくなりますが、白a5と打たれると黒手詰まりです。やむを得ずの29ですが、30でホワイトラインを通され、黒g7に打てないのが辛い限り。以下粘りに粘りますが、45と打った時が一番のピンチでした。46で白g2!→黒g7→白h2→黒g8→白h8→黒h1→白g1となると全く紛れる余地無く黒の負けとなります。ところが46g1が緩手。47と逆にブラックラインを通して少し希望が見えてきました。48はブラックラインを切る最善手ですが、続く50が悪手。黒の狙いは偶数理論で白g2に打たせ、白a8にも打たせて黒h1→h2の連打を実現することです。それを防ぐために白は50で直ちにg2に打つべきでした。これなら次黒h5でf3に黒石が乗るために以下どう打っても黒h1→h2の連打が実現しません。本譜50以下は双方最善で引き分け。序盤から敗勢だったので、この試合は引き分けを拾ったという感じでした。

コメント(0)| Track back(0) | 2006年08月30日16時50分22秒

関東大王戦
昨日は第三期関東大王戦に参加しました。2回戦で山川四段に敗れたものの、後は勝って5勝1敗。中島大王とのタイトルマッチを楽しみにしていたのですが、なんと同じく5勝1敗の中島八段がポイントで予選1位だったために、タイトルマッチなしでの防衛。ちょっと残念でした。

これで中島大王は3期連続タイトル保持。次回はなんとしてもタイトルを奪取すべく頑張るつもりです。今回は時間がないので棋譜だけ掲載します。

55 33 30 32 25 42 38 43
52 54 35 29 19 14 44 23
39 26 03 04 09 10 13 12
41 24 05 00 00 06 11 22 ● 村上 45
56 34 20 00 00 01 08 17 ○ 須古将行二段 19
36 31 27 02 15 07 18 37
57 58 21 28 47 16 50 49
60 59 40 51 46 45 48 53

57 53 54 55 25 37 34 35
52 58 48 31 24 23 30 36
56 33 02 03 04 14 11 19
39 08 01 00 00 05 10 18 ● 山川高志四段 33
50 32 29 00 00 13 15 20 ○ 村上 31
51 44 22 06 07 12 16 21
49 59 43 09 17 26 42 46
60 47 28 41 38 27 40 45

55 35 16 19 27 38 39 54
56 40 21 13 20 17 52 60
29 28 02 03 04 11 12 53
32 08 01 00 00 05 10 37 ● 冨永健太七段 29
31 15 14 00 00 23 26 43 ○ 村上 35
30 34 09 06 07 18 36 42
33 49 25 22 24 48 57 41
50 59 47 44 46 45 51 58

41 56 21 24 25 15 55 52
57 36 23 12 19 14 35 51
40 28 18 17 09 10 11 16
37 27 29 00 00 04 07 20 ● 村上 41
38 53 06 00 00 01 08 13 ○ 山口慶晃三段 23
49 31 30 33 03 02 05 22 
54 50 42 32 34 39 48 26
58 47 46 45 44 43 59 60

60 27 52 08 12 17 18 53
57 55 10 05 09 22 42 54
56 07 02 03 04 13 32 41
15 06 01 00 00 11 33 34 ● 中島哲也八段 29
47 24 25 00 00 14 28 31 ○ 村上 35
48 26 16 19 20 23 21 43
49 40 35 30 36 29 51 50
58 59 37 46 39 38 44 45

52 51 16 28 25 26 42 59
55 50 24 13 17 27 49 60
31 20 02 03 04 11 12 29
23 08 01 00 00 05 10 37 ● 榎本康煕四段 29
32 15 14 00 00 22 21 48 ○ 村上 35
30 34 09 06 07 43 41 44
33 47 19 18 40 39 54 53
56 46 45 36 35 38 58 57

コメント(3)| Track back(0) | 2006年08月14日23時05分34秒

末国九段の強さ
中島名人がブログで末国九段の強さについて書いています。勿論実績で言えば為則九段の方がはるかに上なのですが、住んでいる場所が遠いこともあって、為則九段の考え方を直接聞く機会はあまりありませんでした。しかし末国九段は同じ東京出身ということもあって、様々な大会で対戦しましたし、練習対局や試合の検討などを通じて彼の読みの深さ、広さ、速さを身をもって実感しました。名人同様、私も末国九段に大きな影響を受けていると思います。

いまや世界トップクラスの選手である末国九段ですが、デビュー当時(9歳です!)からの数年は当然ながらそれほど強くはありませんでした。とにかく早打ちで、どんな試合でも長考するということがほとんどなかったと思います。しかしこれは自然なことで、最初のうちはとにかくどんどん試合数をこなすことが上達につながるものです。

中学に入ったころから、彼は徐々に長考するようになりました。そして飛躍的に棋力を伸ばしていきました。私が初めて末国九段の強さを実感したのは、1991年1月13日に行われた名人戦・東京都地区一次予選でのことです。

●●●●●●●+
+●○○●●+○
●+●●○●○○  ●末国
●○○●●○●○  ○金田
●○○●○●○○
●●○●○○●○  黒番
●●○○●●○+
++○○○○○+

黒が末国誠四段(当時)、白が金田繁五段(当時)です。観戦していた私は「黒はh8しかないだろう」と思っていました。ところが末国四段は黒g2!!

●●●●●●●+
+●○○●●●○
●+●●○●●○  
●○○●●○●○  黒g2?? 次白番  
●○○●○●○○
●●○●○○●○  
●●○○●●○+
++○○○○○+

私にはこの手の意味が全く分かりませんでした。黒h8から打てば多分黒が取れる右辺をみすみす白に与えるだけの悪手に見えました。金田五段も同じように考えたらしく、小考の後白h1。

●●●●●●●○
+●○○●●○○
●+●●○○●○  
●○○●○○●○  白は当然の隅取り。 次黒番  
●○○○○●○○
●●○●○○●○  
●●○○●●○+
++○○○○○+

ここから黒h8→白h7→黒b8→白a8と一本道の進行。

●●●●●●●○
+●○○●●○○
●+●●○○●○  
●○○●○○●○  黒番  
●○○○●○○○
●●○●○●○○  
●○●○○○○○
○●●●●●●●

ここに至って私は初めて初手黒g2の意味を理解しました。初手黒g2→白h1の交換でd5の黒石を白にしたために、ここで黒b3と打つ手がc4〜f7の4石全てを返すことになり、最終手で白a2と打った時に斜め(c3〜f7)が返らないのです。この斜めの黒石が大きく、試合は黒の2石勝ちに終わりました。

●●●●●●●+
+●○○●●+○
●+●●○●○○  ●末国
●○○●●○●○  ○金田
●○○●○●○○
●●○●○○●○  黒番
●●○○●●○+
++○○○○○+

翻って最初の局面ですが、ここで普通にh8から寄せると、以下白h7→黒h1→白g2→黒b8→白a8→黒b3→白a2と一本道(白は偶数理論通りに奇数空きの手止まりを打つだけ)で黒の2石負けになるのです! 最終手白a2の時に、斜め(b3〜d5)の黒石が返っていることに注目してください。末国四段はこの手順では黒が足りないことを読み切り、黒g2と勝負手を放ったのでした。

●●●●●●●+
+●○○●●●○
●+●●○●●○  
●○○●●○●○  黒g2!! 次白番  
●○○●○●○○
●●○●○○●○  
●●○○●●○+
++○○○○○+

ここでもしも金田五段が末国四段の狙いに気付いていれば、白h7と最善手を打ったことでしょう。

●●●●●●●+
+●○○●●●○
●+●○○●●○  
●○○●○○●○  最善手h7! 次黒番  
●○○●○○○○
●●○●○○○○  
●●○○●●○○
++○○○○○+

白h7でe4に白石を乗せたのがうまく、以下黒h8→白h1→黒b8→白a8→黒b3→白a2で白の4石勝ち。白は最終手a2で斜めの黒石(b3〜d5)を返せるのが大きいのでした。

この逆転劇を目撃した時の衝撃は今でも鮮明に覚えています。まるで鮮やかな手品を見ているような気持ちでした。しかもこの時末国四段はまだ中学2年生(13歳)だったのです。この試合で「終盤の魔術師」の片鱗を見せた末国四段は、この後15歳で名人、20歳で全日本チャンピオン、同年世界チャンピオンと、足早にオセロ界の頂点へ駆け昇っていくことになるのでした。

コメント(5)| Track back(0) | 2006年07月31日19時16分59秒

成谷vs中島
先日の天王洲カップで私が最終戦を終わって横を見ると、中島名人vs成谷四段戦が終盤の勝負どころを迎えていました。一見すると白(中島)が苦しそうなのですが、中島名人も決め手を与えずに粘ります。そして迎えたのが次のような局面。

++●○○●++
○●●●○○++
○○○○●○○○  ●成谷
○○○●●●○○  ○中島
○●○○●○○○
○○●○●●○○  黒番。最善手順は?
○○○○○○○○
++○○○●++

メモを取ったわけではないので、若干石の配置に違う部分があるかもしれませんが、ポイントとなる形はこの通りです。ここで黒の残り時間は1分弱。必死に読む成谷四段!

私も観戦しながら考えました。そして黒勝ちとの結論を出しました。中島名人も負けを読みきり、敗戦を覚悟していたようです。しかし残念ながら成谷四段は勝ち筋を発見できず、ここで敗着を打ってしまいました。

以前中島二冠王がブログで、「勝てる終盤の形」をより多く持っている選手の方が強い、ということを書いていました。「ある形ではこう打つのが最善だ、という知識」と言い換えてもいいかもしれません。私と中島名人はこの局面を見て、3箇所の2個空きのいずれも黒が連打できないこと、そして右上の4個空きには「4個空き3個打ち(TOF)」がないことを確認し、次にこの局面で最善と思われる手順を数え、黒4石勝ちと結論を出しました。つまり数えたのは1通りのみです。

その手順とは、黒h8→白g8→黒b8→白a8→黒h2→白g2→黒g1→白h1→黒パス→白b1→黒a1。白からはほとんど変化する余地がありません。この手順中「黒h2→白g2→黒g1で右辺とg列を黒にする」というのが「勝てる終盤の形」の一つの典型だと思います。成谷四段はこの形を持っていなかったか、あるいは持っていてもこの局面では思い浮かばなかったために負けてしまいました。逆に中島名人は「相手が持っている可能性がより低い《勝てる形》を使わなければ勝てない局面」を作ることで相手の悪手を引き出し勝利した、とも言えます。

最後で間違えてしまったものの、名人をここまで追い詰めた成谷四段は大したものです。名人のブログにある「次の末国九段」というのは最大の賛辞ですね。将来が楽しみです。

コメント(0)| Track back(0) | 2006年07月31日09時32分54秒

川越闘魂メモリアル
オセロの古い資料を読み返していたところ、「川越闘魂メモリアル・1989年度全集」という冊子が目にとまりました。当時川越で開催されていた大会の記録を中島三段(当時)がまとめたものです。その中に面白い記事があったのでご紹介します。(以下、中島さんの書いた記事の引用)

++○○○○○○
++○○○○○○
○○○○○○○○
●○●●○●○○
●●○●●○○○
●●○●○○○+
+○○○○●○+
+○○○○○●○

上をご覧下さい。なんと、この局面には黒に逆転の手順が残されているのです。ちなみに、これは1回戦の後藤宏vs中島の試合です。
 私(白)は最近あまりオセロを打っておらず、かなり集中力が欠けていた。それがこの悲劇を生んだわけだ。この直前の白の着手はa2かa3の2通りあったのだが、「どうせ偶数」と殆どノータイムでa3に打った。その直後「まずい、右下を連打される」などと思った。黒の宏君も「連打で逆転だ」と思った。後ろで観ていた北島英人さんも「黒の連打じゃねぇか」と思ったという。そんなえれぇ勘違いのもとで左辺を清算した後右下を連打され、私は負けてしまった。なんたることだ。サンタルチーァ。私が、あれは連打じゃない、と気付いたのは家で並べ直した時だった。時既に遅し。キャッチボール素手に痛し。こんな風に書くと全国1億人の私のファンが「宏君は悪い奴だ。」なぁんて思うかもしれませんが、それは大間違い。宏君はわざとやったのではない(らしい)し、なによりも指摘できなかった私が愚かなのです。愚か過ぎちゃいます。
 結局のところ、私が言いたいのは、皆さんはこんな大馬鹿な負け方をせぬようしっかりとゲームに集中しましょう、そゆこと! (以上引用終わり)

今をときめく中島二冠王や後藤七段も、1989年当時はまだ三段だったのですね。時にはこんなアクシデントがあっても、北関東の仲間達と和気藹々オセロを楽しんでいた様子がよく伝わってきます。ちなみに文中の「連打」というのは、黒h7→黒h6の連打のことです。本当は黒h7に対して白h6と打てたのですが、対局者二人とも連打と勘違いしていました。図から黒a8→白a7→黒a2→白b2→黒h7→白パス(!!)→黒h6→白パス→黒b1→白a1で黒の4石勝ちになりました。


コメント(2)| Track back(0) | 2006年07月30日18時39分23秒

横浜ブリッツオセロ大会
今日は横浜ブリッツオセロ大会に参加しました。5分持ちでスイス方式10局打ちです。最初は「ブリッツなんだし、もっと沢山打ちたいな」などと思って参加を迷っていたのですが、実際打って見るとちょうど良い局数で、たっぷり楽しめました。

結果は7勝3敗で2位。優勝は戸田四段、なんと負けなしの10連勝でぶっちぎり。私は初戦で戸田四段と当たったのですが、非常に正確な着手に手も足もでませんでした。あとは九段キラーの佐竹三段、高校生の大森四段に敗れました。

やはり5分持ちというのは時間の使い方が難しいですね。似たような大会があったらまた参加してみたいです。

コメント(6)| Track back(0) | 2006年07月30日18時30分32秒

天王洲カップ
今日は第3回天王洲カップに参加しました。中島名人に負けたものの、5勝1敗のポイント上位で優勝することができました。棋譜はまた後日投稿します。

ここ数日オセロに熱中し過ぎて睡眠不足です。今日はもう寝ます。もし明日元気が回復すれば、横浜ブリッツオセロ大会に参加する予定です。

コメント(2)| Track back(0) | 2006年07月29日20時46分29秒

滝沢vsローズ…その2
++●●●●●+
+○○○○●+○
○○○○●○●○  ●滝沢
○○○●○○○○  ○ローズ
○○●○●○○○
○●○○●●○○  白番。最善手は?
○○○○○○●+
○○○○○○+●

恐らくこの局面でほとんどの方はノータイムでg8に打つと思います。それで黒はh7に打てず、白楽勝に見えます。しかしローズは、白g8に対して黒から恐ろしい筋があることを見抜いていました。それは黒a2!→白a1→黒h7!

○+●●●●●+
○○●●●●+○
○●○●●○●○  
○○●●●○○○  白番 
○○●●●●○○
○●○○●●●○  
○○○○○○○●
○○○○○○○●

なんとこれで白はb1に打てません。この筋を喰らっては勝てないと判断したローズは初手g2へ。

++●●●●●+
+○○○○○○○
○○○○●○○○  
○○○●○○○○  黒番
○○●○●○○○
○●○○●●○○  
○○○○○○●+
○○○○○○+●

滝沢七段(当時)は黒g8→白h7→黒a1。

●+●●●●●+
+●○○○○○○
○○●○●○○○  
○○○●○○○○  白番
○○●○●○○○
○●○○●●○○  
○○○○○○○○
○○○○○○●●

白a2と白b1、どちらが良いのかローズは必死に読んだと思います。しかし無情にも、どちらに打っても黒の2石勝ちなのでした。

○+●●●●●+
○○●●●●+○
○●○●●○●○  
○○●●●○○○  白番 
○○●●●●○○
○●○○●●●○  
○○○○○○○●
○○○○○○○●

翻ってこの局面ですが、とむさんも御指摘の通り白g2→黒h1→白パス→黒b1でなんと引き分けだったのです!! 最初の局面で、多くの選手はノータイムで白g8と打ち、黒a2からの絶妙手順を喰らって青くなり、あとは指定うちになって負けたかと思い、終わってみたら引き分けだった、ということになると思います。ところがローズは黒の妙手順が見えてしまったが故に敗着を打ってしまいました。強いが故に負ける、ということがあるのですね。まさに人智を超えたオセロのドラマです。

57 58 45 49 38 35 51 59
60 52 28 19 34 26 54 44
50 33 03 04 23 08 39 47
46 25 05 00 00 06 41 29
27 24 16 00 00 01 13 48
43 22 17 02 09 07 12 18
42 37 21 11 10 14 32 56
40 31 20 30 15 36 55 53

第18回世界選手権
(94年11月3〜5日、パリ)
●滝沢雅樹 33
○ブライアン・ローズ 31

これは名局です。29の悪手を咎めた30〜32の見事なストーナー。そして滝沢七段の粘り。白a7を喰らって手損しないための37など、随所に参考になる着手があります。

コメント(5)| Track back(0) | 2006年07月28日23時20分17秒

末国vs滝沢…その4
棋譜を載せておきます。ぜひ並べてみてください。

60 55 56 26 19 39 50 57
59 24 09 14 23 35 51 54
15 08 03 04 18 38 40 53
16 12 05 00 00 06 25 41
17 13 07 00 00 01 31 52
20 22 11 02 10 30 47 49
21 42 28 27 29 37 45 48
58 36 32 33 34 43 44 46

第25回新潟県定期大会
(93年12月19日)
●末国 誠 35
○滝沢雅樹 29

コメント(0)| Track back(0) | 2006年07月28日23時00分32秒

末国vs滝沢…その3
では解答を。

+++○●●++
+○○○●●++
●○○●○○●+  ●末国  
●○●●○○●●  ○滝沢  
●○●○○○●+
●○○●●●●●  白番。最善手順は?
●○○○●●○○  
+○○○○○○○

とむさん御指摘の通り、実はこの局面にはブラックラインの白通しを最後まで守り抜く絶妙手順があったのです。それは白h5→黒h3→白g2!!

+++○●●++
+○○○○○○+
●○○●○○○●   
●○●●○○○●  黒番    
●○●○○●○○
●○○●●●○○  
●○○○●○○○  
+○○○○○○○

普通はここで黒が奇数空き(右上)に先打するのですが、黒g1には白h2!→h1の連打、黒h2にも白g1!→h1の連打があります。従って黒はa2に打つしかありません。

+++○●●++
●○○○○○○+
●●○●○○○●   
●○●●○○○●  白番    
●○●○○●○○
●○○●●●○○  
●○○○●○○○  
+○○○○○○○

ここで山川さんが最初に指摘したg1では、以下黒a1→白h2→黒b1→白c1→黒h1→白パス→黒a8で白の4石勝ち。正解は白h2!→黒a1→白b1!→黒c1→白パス→黒g1→両者パスで白の10石勝ち。この局面では両方とも白勝ちですが、もう少し接戦ならば初手g1かh2かで勝敗が分かれる場合もあるでしょう。途中白b1→黒c1でわざとパスになり、黒がブラックラインを取る足がかり(g1の白石)を与えないのが素晴らしい手筋なのでした。

コメント(0)| Track back(0) | 2006年07月28日22時50分35秒

末国vs滝沢…その2
+++○●●++
+○○○●●++
●○○●○○●+  ●末国  
●○●●○○●●  ○滝沢  
●○●○○○●+
●○○●●●●●  白番。最善手順は?
●○○○●●○○  
+○○○○○○○

ここで滝沢七段(当時)は白g1と打ちました。末国名人はa8を狙って黒g2。そして白はg5。

+++○○○○+
+○○○●●●+
●○○●○○●+    
●○●●○○○●  黒番    
●○●○○○○○
●○○●●●○○  
●○○○●○○○  
+○○○○○○○

ここで名人も迷ったことと思います。a8とh3のどちらが良いか、簡単には分かりません。a8だと、以下白h3→黒h1→白h2→黒a2→白パス→黒a1→白b1→黒c1。ブラックラインを取り、上辺も取り、おまけに左上の手止まりまで打って黒負けるはずがないように思えますが、数えるとなんと白の2石勝ち! 最後の黒c1の時に斜めが返らないのが大きいのでした。

+++○○○○+
+○○○●●●+
●○○●○○●●    
●○●●○○●●  白番    
●○●○○●○○
●○○●●●○○  
●○○○●○○○  
+○○○○○○○

名人はh3に打ちました。感覚的には絶対にa8の方が良く見えますから、a8では足りないことを数えたのに違いありません。恐るべき終盤力です。さて、ここで次の手がまた難しい。h1なのか、それともh2なのか。たった7個空、しかも選択肢は2つしかないのに、オセロとはなんと難しいことでしょうか! 白h1は以下黒h2→白パス→黒a8→白パス→黒b1!(このような形での筋。応用が利きます)→白c1→黒パス→白a2!→黒a1で黒2石勝ち。実に勉強になる手順です。

+++○○○○+
+○○○○○○○
●○○●○○○○    
●○●●○○●○  白番    
●○●○○●○○
●○○●●●○○  
●○○○●○○○  
+○○○○○○○

滝沢七段はh2と打ちました。恐らくh1で勝てないことは読み切れていなかったと思います。時間のない終盤で白h1以下の手順を読み切るのは、多分誰にとっても不可能でしょう。ここで黒a2→白パス→黒a1…と寄せていっても勝てますが、末国名人の選んだのは黒b1!→白c1→黒h1→白パス→黒a8→白パス→黒a2→白a1。第2行をごっそりと取る最善手順で6石勝ち。6年余に及ぶ滝沢七段の新潟県定期大会連勝記録(なんと123連勝!!)がついにストップしたのでした。

コメント(0)| Track back(0) | 2006年07月28日22時34分52秒

滝沢vsローズ
++●●●●●+
+○○○○●+○
○○○○●○●○  ●滝沢
○○○●○○○○  ○ローズ
○○●○●○○○
○●○○●●○○  白番。最善手は?
○○○○○○●+
○○○○○○+●

これは95年11月にパリで開催された第18回世界選手権大会の一局。中盤で必敗形に陥った滝沢七段(当時)が、粘りに粘って形勢不明に持ち込んだ局面。白の最善手は?

コメント(1)| Track back(0) | 2006年07月28日09時38分20秒

末国vs滝沢
ワンダーフォーゲル部の合宿引率で一週間ほど留守にしていました。

時々ネットで「どうやったらオセロが強くなれるでしょうか?」という質問を受けます。私はいつも「棋譜をじっくりと並べる」ことをお勧めしています。ソフト上ではなく、実際のオセロ盤の上に、自分ならどう打つだろうと考えながら、じっくりと高段者同士の試合を再現していく。これにまさる勉強はないと思います。しかしこれは時間がかかる作業なので、私もちょっと時間ができると、ついつい沢山の試合を楽しめるネット対戦(1分か1分半持ち)に走ってしまいます。

今は妻と子供達が妻の実家に帰省しているので、久しぶりにじっくりと棋譜並べを楽しんでいます。私の書斎には過去の様々なオセロ関係の資料が山のようにあります。そのなかから面白そうな棋譜を拾い、自分の棋譜は対戦時のことを思い出しながら、他の選手の棋譜はその選手になった気持ちで、まるで大会に参加しているような気分で並べます。

かつて滝沢八段が発行していたロイヤル・ロードは、まさに宝の山です。滝沢八段の鋭い解説は、現在でも全く色褪せていません。第40号(1994年発行)には、「末国名人登場! 滝沢七段の連勝ストップ」と題して、93年12月に行われた代25回新潟県定期オセロ大会のレポートが載っています。その年の4月になんと15歳で名人位に就いた若きプリンス末国名人が新潟に遠征し、滝沢七段(当時)と激戦を繰り広げます。滝沢七段がブラックラインの白通しで攻め、土俵際で粘る末国名人。そして迎えたのが次の局面です。

+++○●●++
+○○○●●++
●○○●○○●+  ●末国  
●○●●○○●●  ○滝沢  
●○●○○○●+
●○○●●●●●  白番。最善手順は?
●○○○●●○○  
+○○○○○○○

有力に見える手がいくつかありますが、どれもその手に対する黒の手を正確に予想し、終局まで読まないと白が勝てるかどうか判断できません。私も10年以上にわたって折りに触れてこの局面を考え、その度に新しい発見がありました。ゼブラにかければ「ああ、この手で何石勝ちか」で終わってしまうかもしれませんが、それでは勿体無い。読者の皆さんもぜひじっくりと考えてみてください。

コメント(5)| Track back(0) | 2006年07月28日09時25分39秒

第34回全日本選手権大会
昨日は全日本選手権に出場しました。今年の会場は秋葉原ダイビルのコンベンション・ホール。非常に立派な会場でした。10月に水戸で開催される第30回世界選手権大会を盛り上げるために、連盟とスポンサー(メガハウス)は相当力を入れているようです。私がオセロを始めた頃、全日本選手権大会は毎年帝国ホテルで開催されていたのですが、その当時を思い出させるような雰囲気でした。

49 47 25 29 54 22 55 60
40 32 16 15 20 17 45 46
24 19 02 03 04 13 18 59
27 09 01 00 00 05 14 56 ● 宮岡 51
42 12 08 00 00 10 58 57 ○ 村上 13
21 23 07 06 11 51 52 53
44 48 30 28 31 26 43 50
37 36 33 39 34 35 38 41

初戦の相手は宮岡環七段。いきなり強豪と当たってしまいました。10で普通私はb3に打つのですが、今日はf5と変化してみました。以下互角の序盤ですが、18が大悪手。ここはf7に打つべきでした。次に黒g5と打たれるのが嫌で切り捨てたのですが、黒g5ならば白g3!(対局後宮岡七段が指摘した手)で依然として黒はe2に打てず、互角の形勢を維持することができました。19以下は白大苦戦。宮岡七段の着手は非常に正確で、全く付け入る隙を見出せないままに大敗を喫してしまいました。

優勝の可能性がなくなった時点でやる気が失せる選手もいるようですが、私は違うタイプです。どんな対局にも全力投球するのが大切。今回の大会の成績にたとえそれが生きなかったとしても、後々の大会に生きてきます。90年代前半に私が関東オープンなどの大会で勝ちまくっていた頃、「こんな大会で運を使っているからメジャーで優勝できないんですよ」とからかわれたことがありました。確かにその頃は、優勝候補とされながらも全日本や名人戦で優勝できない期間が長く、自分自身迷いが生じたこともあります。しかし「どんな対局にも全力を投入することで棋力は向上するし、そういう態度で取り組んでいれば必ずいつかはチャンスが訪れるはずだ」と信じて頑張りました。そのような考えが間違いでなかったことは、その後の私の成績が証明していると思います。

そんなわけで、初戦に敗北したあとも私は闘志満々でした。

2回戦は対戦相手が会場に現れなかったため不戦勝。3回戦は長尾広人六段です。

56 55 27 29 25 26 35 58
60 34 19 16 14 28 59 57
22 20 03 04 09 10 13 52
53 21 05 00 00 06 15 45 ● 村上 41
32 24 12 00 00 01 08 44 ○ 長尾 23
31 23 34 02 11 07 17 36
48 46 33 37 18 30 49 51
47 43 38 42 39 40 41 50

11〜13は前日に考えた手順。対して14〜16はうまい受けです。18では白f7→黒??→白f2が嫌だったので、本譜18は有難いと感じました。しかし20〜22がうまく、私は長考を余儀なくされます。30ではb1かg2しか考えず、それなら黒優勢だと思っていたので、長尾六段の30には意表をつかれました。これは実にうまい手で、黒g1なら白c6が生じます。41ではd8に割り込みたくなりますが、それだと白h4で勝てないと思い却下。実質的な敗着は46。ここは白h3と打てば黒優勢とはいえかなり難しい形でした。長尾六段は「46h3には黒g2が嫌でした」と局後言っていましたが、それならば白h2→黒b7→白b1で白2石勝ちの形勢です。47以下は比較的簡明に勝つことができました。

53 54 23 29 24 34 48 47
52 27 17 18 22 21 46 39
14 10 02 03 04 12 31 38
26 09 01 00 00 05 28 36 ● 大橋 28
25 15 08 00 00 19 30 37 ○ 村上 36
16 20 07 06 13 11 50 35
55 56 32 43 40 44 51 59
57 58 33 45 41 42 49 60

4回戦は大橋友繁二段。これほどオセロの怖さを味わった試合はありません。序盤は圧倒的に有利。相手に27と星打ちさせて、どこに打っても白勝ちに見えます。しかし一気に勝負を決める手順はなかなか見つかりません。そうこうしているうちに決め手となるはずだった白a1の手も打てなくなっている。相手の着手は序盤とうって変わって正確そのもの。時間はどんどんなくなる。42のあたりではもう勝てないかもしれないと思っていました。実際46の時点で黒勝ち局面。ところが大橋二段が何気なく入れた47→48の交換が敗着! 47で単にg8に取っていれば白g6とは打てない(打つと黒g1→h1の連打)ので、白b7。そこで黒g6とブラックラインを切って黒確実に勝てる形勢なのでした。50を着手する前に勝ちを読み切った時の安堵感。。。。まさに死の淵からの生還でした。

43 51 53 31 34 28 35 52
44 38 36 33 16 27 54 15
37 32 05 30 29 07 21 10
46 20 12 00 00 04 09 14 ● 石崎 27
45 19 08 00 00 01 41 13 ○ 村上 37
24 26 11 06 03 02 22 39
47 56 23 17 18 60 40 50
59 57 42 48 55 25 58 49

これも死線を彷徨った試合。14〜16はオセロ部合宿で飯田四段に打たれて負けた手順。白石が極端に多くなりますが、黒の石も散乱していてなかなかまとめ辛い形です。18は軽率の大悪手。19と打たれた瞬間に「黒はg3→f2→d1→g5と極端に多く手数を稼げる」ということに気付き、中盤であっさり寄り切られてしまう可能性を強く感じました。22以下は必死の粘り。34はc1が筋に見えますが、それだと黒e1→白c2→黒b2で詰められます。34→36で黒に手を渡し、白h1→g2の連打の可能性に希望を託しました。37は悪手。ここはc1と打って白に下辺を先打させて黒優勢でした。恐らく石崎六段の読みは「37a3→白a4かa5→黒c1ならばc6の白石が黒にならず、白b7の嫌味が生じない」だったと思います。ところが38が黒の想定していなかった好手。こうなると黒はもうc1には打てず(打つと白a1)、黒a4やa5は白c1でストーナーにかかるため、右下方面に手を着けざるを得なくなりました。ちょっと怖い手ですが、b2の好手を打てたことで私は逆転の手応えを感じました。ところが46が当然のように見えて逆転の悪手。46がなぜ悪手かを理解するのは難しいのですが、実戦で白が勝てなくなっていることから考えるしかありません。49で黒がe8に打った場合に白が勝てないことを確認してみて下さい。本譜49が痛恨の敗着。黒はb1→c1の連打が実現すれば勝てると読んだようですが、実戦の流れを見れば分かるように、ブラックラインの通しが効いて黒の勝てない形になっていたのでした。

59 58 16 15 14 48 47 36
24 53 05 19 09 11 31 38
23 21 02 03 04 10 13 30
22 12 01 00 00 07 37 35 ● 大清水 19
39 26 06 00 00 08 32 34 ○ 村上 45
27 25 18 17 28 41 29 33
40 57 54 20 44 45 43 42
60 55 56 52 46 51 49 50

石崎六段との激闘を逆転で制し、最終戦の相手は大清水崇典五段。蛇使いの大清水五段はやはり蛇定石できました。14はネットで大地選手に打たれていつも苦戦する手。しかし時短の私と違って大清水五段の着手は正確で、15〜17の好手順でd2を狙われて白苦戦。20は29までを想定し、それなら白f1で良しと読んでいたのですが、これがとんでもない読み抜けで白は30でf1に打てないではありませんか! 30は苦心の手。黒g4ならもちろん白f1です。30を見て大清水五段は長考。私は「黒a5→白a7→黒f6→白f1→黒e7で白苦しい」と考えていたのですが、黒はなんとg2! これは若手らしい積極的な手ではありますが、優勢の黒がこのような危険な手を打つ必要はなく、結果的に白に巻き返しのチャンスを与えてしまいました。33〜35も疑問で、やはり黒a5→白a7→黒f6が良い手順。特に35は右辺を白に確定させた悪手。この辺りで逆転の手応えを感じました。しかし局面は微妙で、43f7ならばなんと白2石勝ちという細かい形勢でした。白はいつでもg1でホワイトラインを切れるので、本譜43は白にh8の隅を与えることになり明らかに損です。45で黒g1→白f1→黒f7が成立すれば黒良しなのですが、この手順では黒がf7に打てないのが辛いところ。以下白が無難に勝ち切ることができました。

結局5勝1敗で7位に入賞することができました。このところメジャー大会で入賞するような好成績を挙げていなかったので、非常に嬉しかったです。 

コメント(9)| Track back(0) | 2006年07月18日23時09分11秒

ちょっと苦労した英文…?
何人かの方にコメントをいただき、どうもありがとうございました。皆さん正解で、これは基本的に

She liked Nathan because of his face.
She liked Nathan in spite of his face.

の二つの気持ちを比較している文章です。後半は彼の顔を説明していて、「彼は悪党の人相書きを戯画化したような顔をしていた。まるで(ばたんと閉まる)ドアでぺちゃんこになったように、鼻は潰れ、頬骨はへこみ、口は広がっていた」という意味です。almost がなければ「その顔にもかかわらず、というよりはむしろその顔ゆえに好きだった」という訳で良いのですが、almost がついています。almost は very nearly but not quite の意なので、もう少しで because of が in spite of よりも勝る状況だが、完全にはそうはなっていない。つまり because of と in spite of の両者は比重がほぼ同じか、in spite of の方が少し比重が大きいことになります。というわけで、「彼女は…というような顔にもかかわらずネイサンのことが好きだった。しかし同時に、その顔ゆえに彼が好きだ、という気持ちも同じぐらいあった。」というのが正解となります。ただこれはかなりまどろっこしく分かりにくい日本語であることも確かです。もっとシンプルで上手な訳を思いついた方がいましたら、教えていただければ幸いです。

最初この文の構造が見抜けなかったのは、because of と in spite of の of を1回で済ませているために、because の後に節が来るはずだと考えたからです。トリッキーな詰めオセロに取り組むのと同じで、5分ほどしてから正解が閃いたときは実に爽快な気分でした。同僚のT先生に「あ、分かった! こういう意味ですよ」と教えたところ、T先生はしばらく英文を見つめて「なるほど…。まだ修行が足りないなあ」と呟いていました。全く同感です。いくら勉強しても分からないことが沢山ある。そこにオセロと共通する語学の魅力があるのだなぁ、と感じました。

コメント(4)| Track back(0) | 2006年07月04日10時59分55秒